0813

 

そろそろ大量の作詞を片付けなくては、という焦燥感ばかりを抱えて先週は富士山嶺は河口湖畔で一泊の家族旅行。臨月に突入したハラデカ女房の為、せめてもの骨休めとして。赤ん坊はもう今か今かと脱出のチャンスを伺っているのだ。そろそろ産み落とされたいはずだ。

 

河口湖。湖面は近くまで迫った青空をいっぱいに映して、おとなしく佇んでいた。時おり、高速で出発してゆくモーターボートの波だけを一筋残して、落ち着き払っている。山岳地帯特有の綿菓子みたいな雲が富士山をすっぽり隠してしまっていて、間近にそびえるはずの山嶺が見えない。おそらく、この雲は一日晴れないだろう。

 

大粒のにわか雨が辺りを濡らしはじめた頃、走り回る子供たちを叱り飛ばしながら貧相な遊覧船に乗り込んだ。しかし空はまだ明るさを保っている。まだ充分に蒼い湖面を雨は叩き、細かなつぶ模様を描く。力が抜けるほどユルい船内放送を肴に缶ビールやら酎ハイを呑む。トウキョウから2時間もしないでこのシチュエーション、日本は狭いなと改めて思う。逆に2時間もあればこんなとこでぼけっと酒が呑めるのか、なんでもない幸せをボクらは知らずに見逃して、見過ごして生きているのだろう、まあ、そんなものなんだろう。

 

よい旅だった。